原産地規則 事後確認について。
原産地規則 事後確認について
事後確認の目的
- 「事後確認」とは、特恵税率を適用して輸入申告された貨物について、各経済連携協定及び関税関係法令の規定に基づき、輸入通関後にその貨物が相手国の原産品であるか否かについての確認を行うことをいう。
- 輸入申告された貨物が原産品であることを事後的に確認することによって、特恵税率の便益の適正な確保を目的とする。
- (前提)経済連携協定又は一般特恵関税制度を利用して特恵税率を適用するためには、輸入する貨物が相手国の原産品である必要がある。
事後確認の方法
【日本への輸入】
- 輸入者に対する事後確認は、書面での情報提供要請又は輸入者等の事業所を個別に訪問して行う調査(=事後調査)により実施され、輸入者から提出された資料等に基づき、輸入申告された貨物が相手国の原産品であるか否かを確認する。
具体的には、
- 税関から輸入者に質問書を送付。
- 質問書には、確認の対象となる貨物及び確認内容の記載。
- 当該貨物が原産品であるか否かを確認するため、当該貨物の生産に係る契約書、仕入書、価格表、総部品表、製造工 程表などの資料提出を求められることも。
- 税関への回答期限は質問書に記載(基本的に質問書到着の日から30日以内)。
- 上記の方法により輸入申告された貨物が原産品であることを確認できない場合は、税関から輸出者又は生産者に対し、当該貨物が原産品であるか否かについての情報提供要請や現地への訪問による検証を行うことがある。
- 検証結果、輸入申告された貨物が原産品であることを確認できない場合には、特恵税率の適用が否認される。
(注意)
- 第三者証明制度の場合であっても、事後確認が必要とされる(世界的なEPAの増加等を踏まえ、相手国の発給機関において十分な原産性の審査がなされないまま原産性のない貨物に対して原産地証明書が発給される事案や、偽造の原産地証明書が税関に提出される事案が発生しているため、特恵税率の適正な適用の確保を図っていく観点による)。
- 日EU協定において輸入者自己申告に基づき特恵税率を適用した場合は、協定上、輸入国税関は、輸出者又は生産者に対して当該貨物が原産品であるか否かについての情報提供要請や現地への訪問による検証を実施することができない=輸入者が貨物の原産性を証明できない場合、特恵税率の適用が否認される。
- 特恵税率の適用が否認された場合は、事案の内容に応じて、過少申告加算税等の対象となる。
・第三者証明制度(輸出国の権限ある機関が発給する原産地証明書による方法)
・自己申告制度(輸入者等が自ら作成した、輸入貨物が原産品である旨の申告書を提出する方法)
【日本からの輸出】
- 特恵税率を適用した輸出貨物について、その貨物が輸出締約国(=日本)の原産品であるか否かについての確認を事後的に行うため、相手国税関当局が、各協定等の規定に基づき、日本の輸出者・生産者が情報の提供を求めることがある。
日EU協定について
日本から輸出した貨物の原産性についてEU税関当局が事後確認をする場合。
- EU側の輸入者に対して確認。
- 必要に応じて、日本税関に対して協力要請(原産地に関する申告文を記載した輸出国(=日本)の輸出者・生産者に対する情報提供要請)。
- 当該要請を受けた日本税関は、当該輸出者・生産者に対し、書面又は訪問等の方法により当該貨物の原産性の判断に使用した資料の提出を求め、提供された情報等を基に、貨物が原産品であるか否かの意見を作成してEU税関当局に提供。
- EU税関当局により、当該貨物が原産品か否かの最終的な判断がされる。
※期限内に回答をしない場合、あるいは提供された情報が原産品であることを確認するために十分でない場合は、EU税関当局により特恵税率の適用が否認されることがある。
その他参考記事。↓
参考資料
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