経済連携協定(EPA)について(3)。

EPA特恵税率適用が否認された場合のリスクとは

 

 

特定原産品でなかったこと等の通知義務(証明法第6条)


   1. 輸出者(証明書受給者)に対する通知義務

  • 証明書の発給を受けた産品が特定原産品でなかったこと(5年または3年)(*)
  • 申請書の記載又は資料の内容の誤りにより証明書の記載に誤りが生じたこと(1年)
  • 証明書に記載された事項に変更があったこと(1年)


   2. 原産品であることを明らかにする資料を提出した生産者(特定証明資料提出者)に対する通知義務

  • 証明書の発給を受けた産品が特定原産品でなかったこと(5年または3年)
  • 提出した資料の内容に誤りがあったこと(1年)

 

  • これらの事項について通知しなかった場合、「特定原産品でなかったことを通知する義務」を怠った輸出者(*)には、30万円以下の罰金が科され(証明法第37条)、証明書の発給の決定が取り消される(証明法第27条)
  • 発給の決定が取り消された場合、相手国の当局にその旨が通報される(証明法第28条。通報の前に証明書が返納された場合を除く)
  • 取り消された証明書を所持する証明書受給者は、遅滞なくその証明書を経済産業大臣に返納しなければならない(証明法第29条)
  • 返納する義務を怠った輸出者には、30万円以下の罰金が科される(証明法第38条)

 

 

証明書受給者等にかかる罰則

 証明書受給者等に対する証明法に基づく義務違反等に対する罰則。

 
違反行為の内容 該当条文 罰金額
標章の使用制限違反 第35条 50万円以下
虚偽の申請者 第36条 30万円以下
原産品でなかったことの通知義務違反 第37条 30万円以下
原産地証明書の返納義務違反 第38条 30万円以下

*1 

 

  • 上記の違反行為を法人等の役職員が犯した場合、その法人等に対しても罰金刑が科される(証明法第40条)
  • 特定原産地証明書を偽造した場合は、刑法155条の公文書偽造に該当し、1年以上10年以下の懲役の対象となる。

 

 

原産品であるか否かについての確認(Verification)への対応

  • EPAにおいて、輸出国から輸入される産品がその輸出国の原産品であるか否かを決定するため、輸入国の関係当局は、輸出国の権限のある政府当局などに対し、情報提供の要請ができることが規定されている。(→詳細はこちら
  • 原産品であるか否かについての確認(Verification)は、協定上、要請を受けた日から締約相手国へ回答を返す期限が決められており、期限までに回答がない場合、または回答が不十分な場合には特恵待遇が否認される。

 

 

根拠資料(保存書類)の重要性

  • 特恵税率を受けた物品に関する書類は、関税を引き下げることが出来る根拠資料となるので、輸出国税関から開示を求められることがある。
  • 根拠が不十分であったり、誤った資料を開示した場合は特恵関税が否認されたり、または罰則規定に該当する可能性があるため、輸出者及び生産者においては、各協定で定められた期間きちんと書類を保存すること。

 

原産地証明書の発給日の翌日から起算。

5年間 3年間
日メキシコ、日マレーシア、日チリ、日タイ、日インドネシア、日フィリピン、日インド、日ペルー、日オーストラリア、日モンゴル ブルネイ、日アセアン、日スイス、日ベトナム

 

 

 

次回記事→「EPA原産地規則について

 

 

 

参考資料

根拠資料(保存書類)の重要性 | EPA相談デスク

留意事項 | EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 | 日本商工会議所

 

 

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