知的財産侵害物品について。

知的財産侵害物品とは。

 

概要

 知的財産侵害物品とは、特許権実用新案権意匠権、商標権、著作権著作隣接権、回路配置利用権若しくは育成者権を侵害する物品又は不正競争防止法第2条第1項第1~3号、第10号、第17号又は第18号に掲げる行為を組成する物品をいう。

 当該物品は、関税法第69条の2及び第69条の11により輸出及び輸入してはならない貨物と定められており、国内に持ち込もうとした場合には、関税法第109条等にて処罰されることがある。

 

(ポイント)

・その物品が、権利者から輸出・輸入の許諾を得たもの(輸入においては商標権等の侵害とならない並行輸入品であるものを含む)等は、知的財産侵害物品とはならないので、輸出・輸入することができる。

 

 

関税法の罰則規定

 

□ 行為者について
 輸出した者若しくは輸出しようとした者、輸入した者若しくは輸入しようとした者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し又はこれを併科される。

 

 

□ 行為者の業務主等について
 従業員がその法人の業務等について知的財産侵害物品を輸出したとき若しくは輸出しようとしたとき、輸入したとき若しくは輸入しようとしたときは、その法人に対して1000万円以下の罰金刑が科される。

 

 

□ 侵害物品について
 税関により没収、廃棄される。

 

 

 

一般的な認定手続きの流れ

 

  1. 輸入申告貨物(国際郵便物を含む)で提示されたもののうち、税関で検査を実施し、知的財産侵害疑義物品を発見した場合において、犯則調査を行わないものについて、知的財産侵害物品に該当するか否かの認定手続を開始する。
  2. 知的財産侵害物品の疑いがある貨物(=疑義貨物)を発見した場合には、輸入者及び権利者に対して、認定手続を開始する旨ならびに輸入者及び権利者双方にそれぞれの名称又は氏名及び住所を通知する(輸入申告書等税関に提出された書類等により当該生産者が明らかである場合は、当該生産者の名称若しくは氏名又は住所を権利者に通知する)
  3. 「認定手続開始通知書」の日付の日の翌日から起算して10執務日(生鮮疑義貨物については3執務日)以内に、権利者・輸入者双方が、当該疑義貨物について意見・証拠 を税関に提出する。
     ※証拠・意見を提出するために必要である場合は、申出により、疑義貨物の画像情報を電子メールにより入手することもできる。なお電子メールによる送信は原則として一回に限られており、入手できない場合もある(輸入者又は権利者が送信を希望する画像情報が大量であるほか、税関の業務遂行上やむを得ない理由により、画像情報の電子メールによる送信ができない場合等)ので注意。
  4. 権利者の意見・証拠等は輸入者に、輸入者の意見・証拠等については権利者に、それぞれ開示できる範囲で開示し、それぞれから反論を求める。
    その内容に基づき、税関において当該疑義貨物が侵害品に該当するか否かの認定を行う(認定は1ヶ月以内を目途とされる)
  5.  「認定通知書」を権利者、輸入者双方に交付し、認定結果を通知する。
     ・非該当認定の場合 → 輸入許可
     ・該当認定の場合 → 不服申立てができる期間(3ヶ月)を経過し、かつ輸入者による自発的処理がなされない場合は、税関で当該侵害物品の没収・処分する。

 

 

(ポイント)

  • 申立人(=輸入差止申立てを行っている者)及び輸入者については、申請により当該疑義貨物を点検することができる。
   ※申立人は、承認要件を満たし、かつ見本検査に係る供託を行った場合は、申請により見本検査(分解・分析)を実施することも可。
 
  • 輸入者は、権利者と争わず、疑義貨物について「自発的処理」(滅却、廃棄、任意 放棄、積戻し、輸入同意書の取得、切除等の修正等)を行うことができる。
   ※輸入同意書の取得、切除等の修正の場合は、非該当認定を行った後に輸入許可がされる。その他の場合については認定手続を取りやめることとなる

 

 

 

 

 

参考資料

知的財産ホームページ

知的財産侵害物品(コピー商品等)の取締り : 財務省

輸出又は輸入してはならない貨物

知的財産権保護 - 海外ビジネス情報 - ジェトロ

 

 

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