関税暫定措置法第8条(暫8)についてもう少し詳しく。
暫8適用(減税)対象となる製品及び原材料の範囲
(対象となるもの)
1.ハンドキャリー(携帯品)
副資材をハンドキャリーで提供する場合、その輸出の際に輸出申告書と関係書類(契約書等、確認申告書、附属書)を提出し、税関の確認を受けることで適用可。
※輸出申告書として「輸出・輸入託送品(携帯品・別送品)申告書」に必要事項を記載し、確認申告書等を作成する。
2.現地等で調達した原材料
本邦から輸出された貨物のみを原材料とした製品だけでなく、本邦から輸出した原材料と現地または第三国から調達した原材料を使用した製品であっても適用可。
※現地等で調達した原材料における制限(現地等で調達した原材料が全体の原材料の何%を超えた場合、等)は無し。
3.原材料生地の所有権を譲渡した場合
暫8の原材料生地を輸出したA社が、別会社のB社へ原材料生地の所有権を譲渡し、B社と原材料輸出先のC社との間で委託加工契約を結び、製品を輸入する場合、以下提出書類を以て税関確認を受ければ適用可。
①B社とC社間の委託加工に係る契約書等の写し
②輸出者と輸入者の変更に係る経緯説明書
③管財人名によるA社の廃業と債権に係る通知書等
(※輸出貨物確認申告書の輸出者名を変更する必要はない。)
(対象とならないもの)
1.積戻貨物(外国貨物)
「本邦から輸出された貨物」と規定されているため、積戻貨物は適用不可。
※輸入許可された貨物を原材料として輸出する場合は適用可。
※「積戻し」とは、外国から本邦に到着した貨物を陸揚げ後、輸入せずに外国貨物のまま保税地域から再び外国に向けて送り出すこと。
その他
不良生地の取扱い
輸出した生地全量が不良品となり使用不能になった場合
①その不良品を輸出時の状態で本邦に輸入する場合は無条件免税(関税定率法第14条第10号)適用可。(事前に要税関相談)
②代替品の輸出申告に際しては、新たな確認申告書を提出し、確認を受けること。
(※使用不能となった生地は、暫8に規定する減税の対象とはならない。 )
経済連携協定に基づく特恵税率(無税)の適用と暫8制度(減税)の適用手続
暫8対象として輸出した原材料から製造された製品の輸入において、原産地証明書の取得に時間がかかることから、BP承認を申請する場合
(経済連携協定に基づく原産地証明書を取得できれば特恵税率(無税)を適用することを前提とした場合。)
■BP申告手順
①経済連携協定に基づく特恵税率を適用する場合の申告内容としてBP申告。
※申告記事欄に、「経済連携協定に基づく特恵税率が適用できない場合、暫8を適用する(E/D(輸出許可書) №XXXX)」と付記。
②原産地識別コードは「7」。
③暫8制度の適用手続に必要な書類を提出し、税関での必要な審査を受け、附属書の裏落しの仮記載をする。
④IBP(輸入許可前引取りをした貨物の輸入許可のこと。本許可)時に特恵適用又は暫8適用による附属書等の処理(特恵税率適用の表示や暫8での引落し確認の印)を行う。
⑤特恵税率が適用される場合は、減税適用申請(暫8)の撤回の申し出を行い、輸入(納税)申告時に提出した書類の返却を受ける。
(注意)特恵税率を適用するとしてBP申告をしているため、原産地証明書の入手ができない等により特恵税率の適用をせず暫8を適用する場合には、過少申告加算税の対象となる。
参考資料
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