輸入事後調査について。

輸入事後調査について

 

先日、財務省HPにて、毎年恒例の事後調査結果が報告されました。

(参考:輸入事後調査の状況等

昨年に引き続き、主な申告漏れの事例としてEPA関連があがっています。

EUEPAも発効したことにより、来年度も気になるポイントです。

 

 

先ずは事後調査の概要を。

 

 

概要

 

 ・輸入貨物の通関後における税関による税務調査のこと。

 ・輸入貨物に係る納税申告が適正に行われているか否かを事後的に確認し、不適切な税額等を是正するとともに、輸入者に対する適切な申告指導を行うことにより、適正な課税を確保することを目的とする。

 ・貨物の輸入通関後、輸入者の事業所等を個別に訪問して、輸入貨物についての契約書、仕入書その他の貿易関係書類や会計帳簿書類等を調査し(必要な場合には取引先等についても調査を行う)、輸入貨物に係る納税申告の内容が適切かどうかを確認する。

 ・調査の結果、申告内容に誤りがあることが確認された場合には、輸入者は修正申告の上、不足税額等を納付する(その他、税関において課税価格や税額を更正すること等により不足税額等を納付)

 ・対象期間は通常、事後調査日から遡って5年間。

 

 

付帯税とは

 

 隠蔽又は仮装により、納税申告をせず、又は誤った納税申告を行った者に対して課される税のこと。

 付帯税には延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税の4つがある。

 

 

■延滞税

 関税が法定納期限までに完納されなかった場合に、未納に係る関税額に対して法定納期限の翌日から納付される日までの日数に応じて課される。

 延滞税の税額は当分の間、「7.3%」と「「前年に租税特別措置法第93条第2項の規定により財務大臣によって告示された割合に1%を加えた割合」に1%を加えた税率」のいずれか低い割合と(平成30年の延滞税率は、2.6%)。

 

 

■過少申告加算税

 税関の調査により納税申告が適正でないとして修正申告または更生が行われた場合、原則として当該修正申告等により増加した税額の10%に相当する金額が過少申告加算税として課される。

 

 ※過少申告であったことが正当な理由によるものであると認められる場合はこの部分に対して過少申告加算税は課されない。

 ※修正申告が税関の調査通知よりも前に行われた自主的な修正申告である場合には過少申告加算税は課されない。

 ※税関による事前通知があった後の更生予知前に修正申告する場合は、増差税額に対して5%に減額される。

 ※増差税額が当初申告税額と50万円とのいずれか多い額を超える場合は、上記によって計算した過少申告加算税額にその超える部分の増差税額に5%を乗じて計算した額を加算する。

 

  1. 過少申告加算税の額を計算する基礎となる増差税額が1万円未満の場合は過少申告加算税は徴収されない。
  2. 増差税額に1万円未満の端数がある場合にはこれを切り捨て。
  3. 計算した過少申告加算税が5000円未満の場合には過少申告加算税は徴収されない。
  4. 計算した過少申告加算税に100円未満の端数がある場合にはこれを切り捨て。

 

 

無申告加算税

 輸入(納税)申告が必要な貨物で申告されずに輸入された貨物に対し、税関長の決定があった場合または決定後に税関長による更生があった場合に課されるもの。

 納付すべき税額の15%に相当する金額の無申告加算税が課される。

 

 ※正当な理由によると認められる場合には無申告加算税は課されない。

 ※修正申告がその申告に係る関税についての税関の調査があったことにより当該関税について更生または決定があるべきことを予知してされたものでない場合は10% 。

 ※その申告に係る関税についての調査通知がある前に行われた場合は5%。
 ※決定等により納付すべき税額が50万円を超える部分については、その超えている部分に相当する金額の5%が加算される。

 

  1. 無申告加算税の額を計算する基礎となる増差税額が1万円未満の場合は無申告加算税は徴収されない。
  2. 増差税額に1万円未満の端数がある場合にはこれを切り捨て。
  3. 計算した無申告加算税が5000円未満の場合には無申告加算税は徴収されない。
  4. 計算した無申告加算税に100円未満の端数がある場合にはこれを切り捨て。

 

 

■重加算税

 納税義務者がその納付すべき関税の課税標準または税額の基礎とするべき事実について隠蔽または仮装という不正手段を行っていた時は、過少申告加算税または無申告加算税代えて重加算税が課される。

 

  1. 過少申告加算税に代えて課される場合
    過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に35%の割合を乗じて計算した金額。
  2. 無申告加算税に代えて課される場合
    無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に40%の割合を乗じて計算した金額。

 

 

  1. 重加算税の額を計算する基礎となる増差税額が1万円未満の場合は重加算税は徴収されない。
  2. 増差税額に1万円未満の端数がある場合にはこれを切り捨て。
  3. 計算した重加算税が5000円未満の場合には重加算税は徴収されない。
  4. 計算した重加算税に100円未満の端数がある場合にはこれを切り捨て。

 

 

 

参考資料

適正かつ公平な関税等の徴収

税関の事後調査:日本

関税に付帯する税:日本

納税申告に誤りがあった場合(修正申告、更正の請求、過少申告加算税)

 

 

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