経済連携協定(EPA)について(4)。
EPA原産地規則について
EPA原産地規則とは
ある産品の原産地を特定するためのルール。
EPAの原産地規則を満たし、EPA締約国の原産とみなされた産品は、EPAによる関税の撤廃や削減を受けることができる。
他国産の産品のすり替えや迂回輸入を回避するため、全てのHSコードについて原産地規則がEPAで規定されている。
具体的なルールとは
各協定で品目毎にルールが定められており、主に以下の条件を満たすものが原産品であるとみなされる。
1. 完全生産品
EPA締約国内のみで完全に生産・採取されたもの(農産品・鉱物等)
2. 原産材料のみから生産される産品
すべての一次材料がEPA締約国内の原産品である産品
3. 非原産材料を使用して生産される産品
EPA締約国以外の他国から輸入した材料を用いる場合、EPA締約国において「実質的な製造・加工」が行なわれ、協定の基準を満たした産品
※3. 「実質的な製造・加工」は、主に以下の2つの基準で判定される。
①関税分類変更基準(CTCルール)
- 「実質的な製造・加工」が起こったことを、締約国内で行なわれた生産・作業によるHSコードの変更によって確認する方法。
- 産品のHS番号と、使用されたすべての非原産材料のHS番号 が異なることとなった場合に、当該産品を原産品と認めるというもの。
- 非原産材料のHS番号は必ずしも号(6桁)まで特定する必要はなく、類(上2桁)や項(上4桁)まで判明すれば十分な場合がある(*)。
(*例)
・「CC=Change of Chapter(類変更=HS2桁レベルの変更)」の場合
EPA締約国において「小麦(HS1001.10)」から「小麦粉(HS1101.00)」への加工(=HS2桁レベルの変更に当たる加工)が行なわれていれば、EPA原産とみなされる。
・「CTH=Change of Tariff Heading(項変更=HS4桁レベルの変更)」の場合
「羊毛(HS5105.10)」から「毛糸(HS5107.10)」への加工。
・「CSTH=Change of Tariff SubHeading(号変更=HS6桁レベルの変更)」の場合
「革製自動車部品(HS9401.90)」から「自動車シート(HS9401.20)」への加工。
②付加価値基準(VA)
- 「実質的な製造・加工」が起こったことを、締約国内で行なわれた生産・加工に伴う付加価値によって確認する方法。
- 付加価値基準が、定められた閾値(しきいち)を上回れば原産品と認められる。
(例)
完成車の原産地規則が「VA40%(付加価値が40%以上であること)」の場合
EPA締約国における生産・加工に伴い形成された付加価値が40%以上であれば、その完成車はEPA原産とみなされる。
付加価値・・材料費(原産材料)、設備費、人件費、利益、販売費等諸経費等
付加価値以外・・材料費(非原産材料)
以下記事も参考まで。
次回記事→「品目別規則とは」
参考資料
物の輸出入(関税・原産地規則) - EPA/FTA/投資協定(METI/経済産業省)
輸出産品に係る原産性を確認する | EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 | 日本商工会議所
輸出産品に係る規則を確認する | EPAに基づく特定原産地証明書発給事業 | 日本商工会議所
原産性を判断するための基本的考え方と 整えるべき保存書類の例示
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