実質的変更基準とは。
■通関関連
実質的変更基準を満たす産品
他の国の材料(非原産材料)を直接使用した産品で、その非原産材料全てに対し、 「大きな変化(=実質的変更)」を伴う加工が行われて製造されたもの。
※「実質的変更」が起こった国を原産地とする考え方を「実質的変更基準」、このような産品を「実質的変更基準を満たす産品」と呼ぶ。
実質的変更基準の3つの種類
①関税分類変更基準
全ての非原産材料と製造された産品の間で、関税分類番号(=HSコード)が一定以上変わっていれば、実質的変更が行われたとする考え方。
(例)
非原産材料 大きな変化を伴う加工・製造
A国からの牛革(第41.07項) インドネシア
→ 財布(第42.02項) → 日本
B国からの縫糸(第54.01項)
→非原産材料である牛革、縫糸は、財布の属する類(42類)ではない他の類の材料であることから、財布は日インドネシアEPA上のインドネシアの原産品と認められる。
※関税分類番号は世界税関機構(WCO)のHS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約) に基づいており、商品毎に類(2桁)・項(4桁)・号(6桁)のHS番号が設定されている。
②付加価値基準
その国で付加された価値の割合(原産資格割合)が一定以上であれば、実質的変更が行われたとする考え方。
計算式
原産資格割合=(産品の価額ー非原産材料価額)/産品の価額x100
(例)
日タイEPA
第23.09項の品目別規則:原産資格割合が、産品全体の価額に対して40%以上であること。(第23.09項の産品への関税分類の変更を必要としない)
①非原産材料価額 中国 肉 CIF $20
②付加された価値(*) タイ ペットフード FOB $50
(*)原産材料価額、労務費、製造経費、利益、その他
原産資格割合=(FOB $50-CIF $20)/FOB $50x100=60%
⇒原産資格割合40%を超えるので、ペットフードは日タイEPA上のタイの原産品と認められる。
③加工工程基準
非原産材料に「ある特定の加工・作業」が行われた場合、実質的変更が行われたとする考え方。
(例)
日タイEPA
第2916.12号の品目別規則:使用される非原産材料について、化学反応、 精製、異性体分離の各工程若しくは生物学的工程を経ていること。
A国 アクリル酸(第2916.11号) タイ
→ アクリル酸エチル(第2916.12号)
B国 エタノール(第2207.10号)
⇒化学式が変化している=化学反応が生じている。
⇒アクリル酸エチルは、日タイEPA上のタイの原産品と認められる。
参考資料:
http://www.customs.go.jp/roo/origin/gaiyou.pdf
http://www.customs.go.jp/roo/origin/jpeu3_4B.htm
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