米国の輸入制度について(1)。
米国の輸入制度について
原則
一般的に輸出入許可は不要。
ただし、特定の品目によっては管轄省庁が規定する諸規制に準拠する必要がある。
輸入概要
米同時多発テロ事件後の法規制整備によって国土安全保障省(DHS)が設立される。
DHSの傘下に税関国境保護局(CBP)が設置されて以来、輸入関連規制は、主にCBPの管轄となっている。
輸入品目規制について
■輸入禁止・制限品目
- 税関国境保護局(CBP)は、他の政府機関からの委託を受け、輸入禁止、制限の管理を行っている。
- 品目により、何らかの制限が課せられたり、一定の基準を満たすことが求められている。
■輸入数量割当制(クオータ制:Import Quota)
- 一定期間内に輸入される品目の数量を制限する制度。
- 同制度は、次の2種類に分かれる。
1.輸入数量制限品目(Absolute Quota)
(輸入できる数量が制限されるもの)
☑ 鉄鋼・アルミニウム製品
- 2018年3月に一部の国・地域を除き、以下の追加的な関税引き上げ措置を発動。
(参照:Section 232 Tariffs on Aluminum and Steel | U.S. Customs and Border Protection)
-鉄鋼製品の輸入:25%
(対アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、韓国、メキシコ以外の国からの輸入)
-アルミニウム製品の輸入に10%
(対アルゼンチン、オーストラリア、カナダ、メキシコ以外の国からの輸入)
※上述した国においては、関税引き上げ措置の例外として認める一方、製品別の輸入数量制限などの措置や二国間での取決めが適用されている。
☑ 繊維製品
- 2005年1月のWTO繊維衣類協定の規定により、それまで輸入繊維製品に課せられていた数量割当規制が、WTO加盟国からの輸入品に関して廃止された。
- 2009年1月1日以降、中国からの輸入も、中国本土で製造され、米国向けに輸出されるすべての繊維製品が制限対象から除外。
- なお、WTO非加盟国については、制限の対象となる。
2.関税割当品目(Tariff-rate Quotas)
(一定の数量に対し関税の割引が適用されるが、この数量を超える分に関しては、通常の税率が適用されるもの)
- ホウキおよびブラシ(Brooms)
- エチルアルコール
- ミルクおよびクリーム
- オリーブ
- ミカン(Mandarins)
- マグロ
- リクチワタ(Upland Cotton)
- 綿シャツ素材の一部
- 太陽光セル・モジュール
- 大型家庭用洗濯機
以下参考記事。↓
輸入にあたり許可が必要な品目の一部
- 食品(乳製品、食肉など)
- アルコール飲料
- タバコ製品
- 銃器
- 放射性物質
- 生物学的薬剤
- 野生動物
- 自動車(型式に応じた、連邦の自動車安全基準(FMVSS)、排気ガス基準を満たす必要がある)
- ボート(米国沿岸警備隊(USCG)の定める安全基準を満たす必要がある)
(参照:CBP "Importing into the United States" "Special Requirements (p106-150)")
個人による米国への持ち込みが規制される品目
- 個人が米国に持ち帰る、あるいは個人的に取り寄せようとする際、個人消費目的であっても規制されるものがある。
- 例)タバコ(個人消費目的に限り、免除規定を超えない範囲のみ認められる)、医療品(FDAによる販売認可の下りている処方薬のみ認められる)、食品
・食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA):FDA "Importations of Drugs"
・他、規制品目について参照:CBP "For International Visitors"
参考資料
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