米国の輸入制度について(2)。
米国の輸入制度について
輸入地域規制
外国資産管理規制、キューバ資産管理規則等により全面的、部分的に輸出入禁止措置が取られている国(※これらの国を原産地とする産品は、第三国を経由したものでも輸入禁止)。
- イラン
2010年7月に成立したイラン包括制裁法(H.R.2194)などに基づき、輸入禁止措置が取られている。
同法は、1996年に制定されたイラン制裁法を強化し、イランの核開発や石油精製開発を支援する外国企業に対し、米国内でのビジネスを制限するもの。
2011年12月 原油の貿易でイラン中央銀行と取引のある米国外の金融機関を制裁する措置を含む国防権限法(H.R.1540)が成立。
2019年5月 日本を含む8ヵ国・地域をイラン産原油禁輸措置の適用除外とする特例措置を撤廃。加えて、イランの鉄鋼、アルミニウム、銅産業に関連する会社の所有者や取扱業者、金融機関などを対象に制裁措置を発動。
対キューバ資産管理規則(31CFR515)に基づき、原則、財務省の許可がある場合を除き、輸入禁止措置が取られている。
大統領令13570などに基づき、財務省の許可がある場合を除き、輸入禁止措置が取られている。
- その他国・地域の特定個人や団体に対する規制について
輸入関連法
- アンチダンピング
- 相殺関税
- セーフガード規定
- 外国政府等の不正貿易慣行(通商法301条、スーパー301条)
- 不公正貿易慣行
- 輸入課徴金(国際収支制限)
- テロ支援国家からの輸入禁止
- スペシャル301条
- 農作物および繊維製品の輸入制限協定
- 農産物への賦課金および割当
- 連邦バイアメリカン法
- 国内産業保護を主な目的とし、連邦政府調達品に関し、国産品を優遇する措置。
- 州政府による調達時の国産品優遇措置は州によって異なる。(例)カリフォルニア、フロリダ、イリノイ、ニューヨーク、テキサスなどの州では、鉄・鉄鋼製品の国産品使用義務に加え、入札には州内企業を優先する「バイローカル」ルールや、中小企業を優遇する制度がある)
- 運輸省傘下の機関(連邦航空局、連邦高速道路局、連邦鉄道局、連邦交通局など)は、連邦バイアメリカン法より厳しい独自の国産品優遇措置(バイアメリカ条項)を採用。
輸入管理その他
■C-TPAT:Customs-Trade Partnership Against Terrorism
(テロ行為防止のための税関産業界提携プログラム)
2003年 国際供給網に関する国家安全保障を強化する目的で、税関国境保護局(CBP)による監督のもと、C-TPATが整備される。
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輸入関連業者
C-TPATは、輸入業者に対し、国際供給網をめぐる安全保障上の業務処理に関する提言や助言を告知(提言や助言内容は、輸入に携わる業種別(例:輸送業者、通関業者、輸入業者、港湾倉庫業者)に分類される)。
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外国の製造業者
2003年8月18日から、CBPはメキシコ以外の国の製造業者と輸出向け梱包業者をはじめとする対米輸出関連業者に、C-TPATへの参加を奨励している。メキシコ以外の国の製造業者は、基本的にはCBPからの勧誘がない限りC-TPATへの参加は認められない(外国の製造業者は、C-TPATに参加するために「C-TPAT Application Procedures for Foreign Manufacturers」に準拠する必要もある)。一方、メキシコの製造業者はほぼ自動的に有資格者となるが、いくつかの条件(C-TPAT認定の輸入業者を米国で運営している等)がある。
■CSI:Container Security Initiative:CSI
(コンテナ・セキュリティ・イニシアティブ)
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を受け、米国に入港するコンテナおよびコンテナ船の安全保障を向上する目的で導入。
米国外のCSIプログラムに参加する港湾に検査官を派遣し、現地の税関当局と協力して、テロの危険性がある米国向けコンテナやコンテナ船を出港前にスクリーニング、海上輸送を利用したテロリストによる攻撃を未然に防ぐことを目的とする。
- あらゆる情報を収集し、対米テロの危険性を秘めているコンテナを割り出す。
- 対米テロの危険性を秘めているとみられるコンテナが、米国向けに出港する前に港でスクリーニングを行う。
- X線やγ線などを利用した探知装置を駆使し、貿易業務の妨げにならないよう迅速にスクリーニングを行う。
■24時間ルールおよび「10+2」ルール
- 24時間ルール
2002年通商法(Trade Act of 2002)に基づき、2002年12月に施行。海外の船会社、または委託を受けた非船舶保有海上運送事業者に対し、米国向け海上貨物の外国港での船積み24時間前に、積荷目録(マニフェスト)情報をCBPに提出することを義務付け。2004年1月からは海上貨物に加え、航空・陸上貨物にも適用。
- 「10+2」ルール
2010年1月より施行。輸入者に対して10項目、船会社に対して2項目の貨物情報の提出を求めるもの。24時間ルールに基づき船会社が提出する積荷目録(マニフェスト)の情報と輸入者が提出する10項目の貨物情報を照合する。
■航空貨物事前検査(ACAS)プログラム
航空機に貨物が積載される前に貨物情報を税関に提出させることで、危険度の高い航空貨物が米国に運ばれないようリスク軽減を図ることを目的とする。
■BTA:Bioterrorism Act(バイオテロ法)
2002年6月12日 2001年9月11日のテロ事件を受け、バイオテロリズムから米国内の食品と食品流通網を守る目的で制定。
■木製梱包材(WPM)の害虫駆除規制
■中古車
車両に関する品質基準を含む輸入条件が定められている。
■文化資産
文化資産保護法(Cultural Property Implementation Act)のもと、国務省は次の国々と協定を締結し、対象となる文化資産の輸入を禁止している。
輸入時の必要書類等
参考資料
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