安全保障貿易管理について(2)。
安全保障貿易管理について
本記事のテーマ
「リスト規制」と「キャッチオール規制」とは。
リスト規制とは
- 輸出令別表第1(外為令別表)の1の項から15の項に該当する貨物(技術)をリスト規制貨物(技術)という。
- 専ら貨物や技術の機能や性能(スペック)に着目した規制のこと。
- 具体的なスペックや機能は、輸出令別表第1(外為令別表)の1の項を除き、経済産業省令である「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(貨物等省令)」で規定されている。
(ポイント)
- 対象になる技術には、技術資料又はソフトウェアの提供、技術者の受入れ又は派遣を通じた技術支援等も含まれる。
- リスト規制に該当する技術は、リスト規制該当貨物に関する技術だけではなく、リスト規制に該当しない貨物の技術も一部規制している。
リスト規制対象地域
※武器、大量破壊兵器等の関連資機材及び通常兵器関連汎用品の規制は、大量破壊兵器等の拡散を防止すること及び通常兵器の過剰な蓄積を防止することを目的としていることから、規制対象地域は全地域とされる。
※特に国際的な懸念がある地域として、イラン、イラク、北朝鮮が輸出令別表第4の地域に規定。
キャッチオール規制とは
- 湾岸戦争終了後にイラクに対する国連等の査察の結果、イラクがリスト規制に該当しない製品を使用して大量破壊兵器の開発等を行っていた事実が判明したことから、導入された規制。
- リスト規制と異なり、専ら需要者や用途に着目した規制のこと。
- 貨物や技術が輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に該当しただけでは、ただちに許可申請が必要になるわけではなく、客観要件又はインフォーム要件のいずれかに該当した場合においてのみ、許可申請が必要になる。
- キャッチオール規制は、現在、(1) 大量破壊兵器キャッチオール規制と(2) 通常兵器キャッチオール規制が実施されている。
- キャッチオール規制は、リスト規制を補完していることから、補完的輸出規制ともいう。
1. 大量破壊兵器キャッチオール規制
・規制対象貨物:技術
輸出令別表第1(外為令別表)の16の項に掲げられる。
・許可申請が必要な場合 :規制対象貨物(技術)の輸出(提供)であって、客観要件(用途要件と需要者要件)またはインフォーム要件に該当した場合
・規制対象地域:輸出令別表第3に掲げる地域を除く全地域
※輸出令別表第3の地域(通称、グループA)
アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国の26ヵ国。 (2019年9月現在)
2. 通常兵器キャッチオール規制
・規制対象貨物:大量破壊兵器を除いた通常兵器
・規制対象地域と許可申請:客観要件(用途要件のみ)またはインフォーム要件に該当した場合。仕向地(提供地)によって、許可申請の要件が異なる。
ア)輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国・地域)の場合(以下条件を満たす場合、許可申請が必要)
規制要件:インフォーム要件 or 客観要件(用途要件のみ)
規制対象貨物(技術):輸出令別表第1(外為令別表)の16の項
イ)輸出令別表第3の地域以外で、輸出令別表第3の2の地域(国連武器禁輸国・地域)以外の場合(以下条件を満たす場合、許可申請が必要)
規制要件:インフォーム要件
規制対象貨物(技術):輸出令別表第1(外為令別表)の16の項
※輸出令別表第3の2の地域 (国連武器禁輸国・地域)
アフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダンの10ヵ国。
参考資料
安全保障貿易管理**Export Control*安全保障貿易の概要
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