安全保障貿易管理について(1)。
安全保障貿易管理について
本記事のテーマ
「安全保障貿易管理」とは。
安全保障貿易管理とは
- 輸出規制を行うこと。
- 国際社会の平和と安全を維持するため、武器や軍事用に使用可能な技術や製品が、大量破壊兵器を開発する国家やテロリストに渡らないようにすることを目的とする。
- 外国為替及び外国貿易法(外為法)によって、必要最小限の管理・規制が実施されている。(外為法に基づく規制は、化学兵器禁止条約等の条約に基づくものと、欧米先進諸国等が中心となって参加する国際的な輸出管理に関する合意(国際輸出管理レジーム)等に基づく)
- 規制貨物と規制仕向地が決められており、それらに該当する場合は経済産業大臣の許可が必要。この時、輸出品目の最終用途や最終需要者などからみて、大量破壊兵器の開発や拡散のおそれがある場合等、国際の平和と安全を脅かす恐れがあると判断されると、輸出が許可されない仕組みになっている。
※国際輸出管理レジーム=原子力供給国会合(NSG)、オーストラリア・グループ(AG)、MTCR(ミサイル関連機材・技術輸出規則)、ワッセナー・アレンジメント(WA)をいう。
不正輸出がされた場合に起こりうること
- 外為法や関税法違反により、厳しい刑事罰(警察の強制捜査、また逮捕者が出るなど)を以て、企業の社会的・道義的責任を問われる
- 外為法に基づき、一定期間の輸出禁止という制裁措置が課される
- 包括許可の取り消し
- 通関上の優遇措置の取り消しによる経済的損失
- 株主代表訴訟を提起され経営者が責任を問われる恐れ、等
(注意)
- 米国の輸出管理上の規制が日本にも域外適用されているため、米国が問題視する米国法令違反の場合には、米国政府によって取引停止、輸入禁止等の制裁措置が課される可能性がある。
(ここがポイント)
- 直接の法令違反にならない場合であっても、自社製品が大量破壊兵器の開発に使用されたことが判明した場合、社会的・道義的責任を問われることもある。
日本の安全保障輸出管理制度
主に以下2つの制度から成り立っている。
1.「リスト規制」
2.「キャッチオール規制」
リスト規制に該当しない貨物(技術)を輸出(提供)しようとする場合で、一定の要件(インフォーム要件又は客観要件)を満たした場合に、経済産業大臣の許可を必要とする制度
※インフォーム要件
経済産業大臣から
①大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵に用いられるおそれがある
又は
②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある
として許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けている場合に、許可申請が必要となる要件のこと。
※客観要件
輸出者が用途の確認又は需要者の確認を行った結果、
①大量破壊兵器等の開発、製造、使用又は貯蔵等に用いられるおそれがある場合
又は
②通常兵器の開発、製造又は使用に用いられるおそれがある場合
に、許可申請が必要となる要件のこと。
リスト規制貨物(技術)の内容
①武器関連=武器輸出三原則
(一部ワッセナー・アレンジメント→輸出令別表第1(外為令別表)の1の項)
②大量破壊兵器関連=輸出令別表第1(外為令別表)の2~4の項
→ 輸出令別表第1(外為令別表)の2の項
- 化学・生物兵器関連=オーストラリア・グループ(AG)
→ 輸出令別表第1(外為令別表)の3の項・3の2の項
- ミサイル関連=MTCR(ミサイル関連機材・技術輸出規則)
→ 輸出令別表第1(外為令別表)の4の項
③通常兵器関連=ワッセナー・アレンジメント(WA)
→ 輸出令別表第1(外為令別表)の5~15の項
参考資料
安全保障貿易管理**Export Control*キャッチオール規制
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