原産地規則について(3)。

原産地規則について

 

本記事のテーマ

「実質的変更基準」を理解しよう。」

 

 

「実質的変更基準」とは、"非原産材料"または"材料の原産国が確認できないもの"を使用して製造された産品が、当該締約国を原産国として認めるに十分な加工が行われているかを判断する基準のこと。

 

 

EPA特恵税率を適用するには

特定の国からの貨物につき、EPA税率を適用して輸入申告を行いたい。

けれども、特定の国以外の産品が使用されている場合には、「実質的変更基準」を満たさなければ、特定の国の原産品であることが認めらず、EPA税率を適用することができない。

そこで早速、「実質的変更基準」とは何か、を見ていきます。

 

「実質的変更基準」とは

実質的変更基準は、以下3つに分類される。

れらのうちどれが採用されるかは、各EPA協定の付属書2 に定める品目別規則による。さらには、HSコードによっても異なる。

 

  1. 関税分類変更基準
  2. 付加価値基準
  3. 加工工程基準

 

関税分類変更基準とは

「非原産材料と製造された産品との間で、一定以上HSコードに変化がある場合は、その製造された産品を、当該締約国を原産国として認めるとする基準のこと。」

 

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関税分類変更基準

 

上述の例では、第13類⇒第20類への"大きな変化"が起きているので、非原産材料を1次材料として製造される産品(マンゴージャム)の原産国は、「タイ」として認められる。=日タイEPA税率が適用できる!

 

※日タイEPA協定(付属書2 品目別規則 p20)

<第2007.99>

第2007.99号の産品への他の類の材料からの変更(第7類、第8類の材料からの変更を除く)。

 

付加価値基準とは

「当該締約国で付加された価値の割合(原産資格割合)が一定以上である場合は、その製造された産品を、当該締約国を原産国として認めるとする基準のこと。」

 

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付加価値基準

※日フィリピンEPA協定(付属書2 品目別規則 p18)

 

<原産資格割合の求め方>

 

          産品の価額(FOB)-非原産材料総価額

原産資格割合 = ----------------------------------------------------------- ≧ ●●%

              産品の価額(FOB

 

加工工程基準とは

「非原産材料に、ある特定の加工・作業がされた場合は、その製造された産品を、当該締約国を原産国として認めるとする基準のこと。」

 

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加工工程基準

 ※日タイEPA協定(付属書2 品目別規則 p73)

 

用語
  • 原産資格割合QVC(Qualifying Value Content)
  • 非原産材料総価額VNM(Value of Non-originating Materials)

 

まとめ
  • "非原産材料"または"材料の原産国が確認できないもの"が使用されて製造された産品の場合、「実質的変更基準」を満たさなければ、当該締約国の原産品であることが認めらず、EPA税率を適用することができない。
  • 「実質的変更基準」は、1. 関税分類変更基準、2. 付加価値基準、3. 加工工程基準 の3つに大別される。
  • 実質的変更基準のうちどれが採用されるかは、各EPA協定の付属書2 に定める品目別規則による。さらには、HSコードによっても異なる。

 

 

なお、実質的変更基準には、例外なる”救済処置”が存在します。

次回記事では、「実質的変更基準の例外」について確認します。

 

 

参考資料

原産地規則の概要:税関

完全生産品、他:税関

経済連携協定の原産地規則:ジェトロ

 

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