原産地規則について(2)。

原産地規則について

 

本記事のテーマ

「一般ルール」と「品目別分類規則」を理解しよう。」

 

 

「一般ルール」「品目別分類規則」とは、原産地判定に用いられる"実質的変更基準"において、前提となる規則のこと。

 

 

EPA特恵税率を適用するには

特定の国からの貨物につき、EPA税率を適用して輸入申告を行う場合、その原産国が特定の国以外の産品を使用しているか、いないかを確認する必要がある。

仮に、特定の国以外の産品が使用されている場合には、「実質的変更基準」を満たすことで、特定の国の原産品であることが認められなければ、EPA税率を適用することができない。

実質的変更基準は大きく分けて3つ(関税分類変更基準、付加価値基準、加工工程基準)に分類され、それらのうちどれが採用されるかは、各EPA協定また産品(HSコード)毎により異なる。

ここでは、各基準の前提にある「一般ルール」と「品目別分類規則」とは何か、を理解します。

 

 

「一般ルール」、「品目別分類規則」とは

 

■「品目別分類規則」

  • 非原産材料を使用して製造される産品を、その国の原産品として認める為に、各HSコード、EPA協定毎に定められる"実質的変更基準"を記載したもの。
  • 各協定 「付属書2」に掲載されている。(参照:日スイスEPA- 経済産業省 p42~「付録一 品目別規則」)

 

(例)日スイスEPA 第17類「糖類及び砂糖菓子」

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1704.90

 

⇒ 以下条件を満たすものであれば、その国の原産国と認められる。

  1. HS4桁レベルでの変更(CTH、頭4桁(1704.90)の変更を伴う加工)。
  2. 第4類酪農品、鳥卵...と第17類を非原産材料として使用された産品の価額が、製造された産品の工場渡し価額(EXW)の45%を超えないもの。

 

※品目別規則 注釈

「CTH」とは、各類、項、号の産品への他の項の材料からの変更を示す。このことは、産品の生産に使用されたすべての非原産材料について、統一システムの関税分類の変更であって4桁番号の水準におけるもの(=項(頭4桁)の変更)が行われたことをいう。

 

※第一節総則 第一条定義より

「工場渡し価額」とは、工場渡しの産品について、締約国の関税地域に所在する生産者であって、後の作業又は加工を行ったものへの支払に係る価額をいう。この場合において、当該価額には、使用されたすべての材料の価額、賃金その他の費用及び利益(ただし、利益については、得られる産品が輸出される際に還付され、又は払い戻された内国税を減じた額とする)を含む。

 

 

■「一般ルール」

  • 各HSコード、EPA協定毎における品目別分類規則がなく、EPA特恵対象貨物全体に包括的に適用されるルールのこと。

 

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一般ルール

 


 (例)日スイスEPA 品目別規則

 

↓ 第26-27類がブランク!

この場合、「一般ルール」が適用される(第26類(鉱石等)は、MFN税率適用でそもそも関税FREE)

(日スイスEPA 一般ルール「他の項の材料からの変更または付加価値40%以上」)

 

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まとめ
  • 「一般ルール」「品目別分類規則」とは、原産地判定に用いられる"実質的変更基準"において、前提となる規則のこと。
  • 品目別分類規則は、各HSコード、EPA協定毎により異なり、付属書2 に掲載される。
  • 品目別分類規則がない場合は、一般ルールが適用される。

 

 

次回記事では、「実質的変更基準とは何か」につき、より詳しく見ていきます。

 

 

参考資料

原産地規則の概要:税関

完全生産品、他:税関

 

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