米国の関税制度について(4)。
■その他
関税の払戻し
- 貨物を米国から再輸出した場合、輸入した際に支払った関税、内国消費税の99%を、原則として輸入者からの申請に基づき払い戻す制度。
- アンチダンピング税や相殺関税は対象外。
<適用対象>
1.同一状態での再輸出および破棄貨物
3年以内に再輸出、または税関監視下で破棄された場合。
2.違約品
契約上の見本、使用に合致しない物品、受荷主の合意なく送られてきた貨物で、
90日以内に税関の管理下に戻され、税関の監督下で再輸出された場合。
3.製造貨物
輸入品の一部または全部を用いて米国で製造された物品が、
輸入後5年以内に再輸出された場合。
4.代替貨物
輸入貨物と同種類の国内品または関税支払品を用いて、輸入後3年以内に
製造もしくは生産し、5年以内に再輸出された場合。
減免税措置
- 輸入時に一定の条件を満たしている場合、当該関税が減免される。
<主な規定>
1.米国関税率表第98類は、無条件減免税あるいは税関保証金(ボンド)差し入れのもとでの特定減免税が適用される輸入事例を20項に分類、規定している。
例:船積用のコンテナ、米国政府機関の購入品、在米外国政府・国際機関の輸入品、
一時輸入品など。
※米国関税率表:USITC " Harmonized Tariff Schedule PDFs"
2.再輸入品
- 米国から輸出され、再輸入される貨物は、外国で加工・組立等により付加価値が付くか否かで分類が異なる。
- 原則として、貨物が輸出時の状態で戻ってくれば免税。
- 外国で付加価値が付けば、付加価値分だけが課税され、減税扱い。
ATAカルネによる一時的な免税輸入
- ATAカルネは、ATAカルネ条約に加盟する各国の商工会議所国際事務局が作成する、関税の支払いなしで暫定輸入をするための保証付きの通関書類のこと。
- 主に見本品を輸出する際に用いられ、保税担保による方法(Temporary Importation under Bond:TIB)と同様の効力を有する。
- TIBよりも手続きが簡素なため、多くの輸入者が利用している。
- ATAカルネの有効期間は1年、この期間内であれば、米国への輸出入が回数の制限なしに可能。
- 米国に限らず、ATAカルネ条約加盟国への輸出入も可能。
<TIBとの違い>
・TIB
輸入者自身の入国手続きとは別に、書類記入や保税支払いなどの通関手続きが必要。
出国前に、カルネと呼ばれる通関書類を発行するのみ。
発行には手数料と保証金の支払いが必要。
<ATAカルネの対象商品>
・主に見本品
(商業用見本品や専門職用機器、広告用材料のほか、コンピュータやカメラ、産業機械、宝飾品のほか、美術品など)
注)予め売買が予測される商品(農作物など)は対象外。
※ATAカルネについて:商務省国際貿易局(ITA) "ATA Carnet | export.gov”
※以下記事でも。↓
外国貿易地域(Foreign Trade Zone:FTZ)に搬入される輸入品
-
外国貿易地域に搬入された貨物は、無期限の蔵置が認められている。
-
FTZから国外に再輸出された場合は、通関手続きと関税支払いは免除される。
注)米国市場での販売を目的にFTZから米国内に持ち込む場合は、通関手続きおよび関税の支払いが必要(以下いずれかを選択して支払うことが一般的)。
1.FTZに持ち込んだ原材料や部品に係る関税
2.これら原材料や部品を用いてFTZ内で生産した完成品に係る関税
参考資料
関税制度 | 米国 - 北米 - 国・地域別に見る - ジェトロ
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