加算要素の取扱い(具体例)。

加算】

 

仲介料その他の手数料

 輸入取引に関連して、買手と売手との間にあって、買手と売手のために、 受注、発注、交渉等、輸入取引の成立のための業務を行うA社に対して、その業務の対価として仕入書価格の5%の手数料を買手が支払う場合。

 

=輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払う手数料にあたるので、加算。

 

無償提供物品(生産ロス分に係る費用)

 輸入取引に関連して、金型を使用して製造された製品を売手から購入。 買手は、輸入貨物の生産に使用する金型を、買手と特殊関係にないA社から購入し、売手へ無償で提供する。 なお買手が無償で提供した金型は全て輸入貨物の生産に使用されるが、生産の過程でその金型の一部の生産ロスが発生した場合。

 

=無償で提供した金型(生産ロス分を含む)取得価格全額を、現実支払価格に加算。

 

※無償で提供された費用の額は、その物品を買手が自己と特殊関係にない者から取得した場合、その物品を取得するために通常要する費用によることとされる。

また、その物品中に生産ロスを見込んだスペア部品等が含まれている場合には、そのスペア部品等を含む費用の総額を現実支払価格に加算するとされる。

 

ロイヤルティ

 商標権者であるA社とのライセンス契約に基づき、A商標の使用の許諾を受け、A社の子会社である売手からA商標が付された製品を購入。 売手に支払う輸入貨物の代金とは別に、A社とのライセンス契約に基づき、 買手が輸入貨物に付されているA商標の使用の対価としてロイヤルティをA社に支払う場合。

 

=輸入貨物に係るものであり、かつ、輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために支払われるものと認められるため、現実支払価格に加算。

 

※輸入貨物に係る商標権の使用に伴う対価で、その輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために買手により支払われるものは、現実支払価格に加算することとされる。

 

 

非加算】

 

買付手数料

 輸入取引に関連して、輸出国に所在するA社と買付業務委託契約を締結し、買手に代わり、買手の要求を売手へ通知する業務及びクレーム処理に関する交渉を行う業務を委託。

A社は、買手の管理の下でこれらの業務を行い、これらの業務を行った際には、業務レポートを買手に提出することとなっている。(A社はこれらの業務以外にこの輸入取引に関する業務を一切行わない。 )上記の買付業務委託契約に基づき、その業務の対価として、輸入貨物の仕入書価格の2%の手数料を買手がA社に支払う場合。

 

=上記の例では、A社が買手に代わり業務を行うことが買付業務委託契約書で明らかにされており、輸入貨物の買付けに関し買手を代理してその買付けに係る業務を実際に行っているという実態の存在が、A社から提出される業務レポートにより確認できる。=買付手数料と認められるので、非加算。

 

※買付手数料に該当するか否かの判断は、契約書等における名称によるものではなく、当該手数料を受領する者が輸入取引において果たしている役割及び提供している役務の性質を考慮して行う。

 

無償提供物品(売手が負担する費用)

 買手は、自社を特殊関係にないF国所在のA社から購入した部品を、輸入貨物の生産に使用するため売手に無償で提供。 この部品の提供にあたって、買手はA社に部品代金を支払い、その部品をA社から売手まで運送する費用は、売手が運送会社に支払う場合。

 

=①無償で提供した部品は、「輸入貨物に組み込まれている 材料、部分品又はこれらに類するもの」に該当し、その部品に要する費用の額を現実支払価格に加算。

 ②売手が運送会社に支払う運送費用は、非加算。

 

※その物品を提供するために要した運賃、保険料その他の費用を買手が負担したときは、それらの費用を通常要する費用に加算される。だが、当該費用を売手が負担する場合は、加算する必要はない。

 

 

参考資料

質疑応答事例

 

 

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