加算要素の概要。

加算要素の概要

 

 「輸入貨物の取引価格による方法」により輸入貨物の課税価格を計算する場合において、その輸入貨物の「現実支払価格」に加算することとなる費用(「加算要素」)は、

 

  1. 輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他その運送に関連する費用
  2. 仲介料その他の手数料(買付けに関し買手を代理する者に対し、その買付けに係る業務の対価として支払われるもの(買付手数料)を除く。)
  3. 輸入貨物の容器の費用
  4. 輸入貨物の包装に要する費用
  5. 輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務に要する費用
  6. 輸入貨物に係る特許権等(その輸入貨物を本邦において複製する権利を除く。)の使用に伴う対価(ロイヤルティ等)で、その輸入貨物に係る取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接又は間接に支払われるもの
  7. 買手による輸入貨物の処分又は使用による収益で直接又は間接に売手に帰属するもの

 

※「現実支払価格」に含まれていないもののみが「加算要素」となる。上記の費用等のうち「現実支払価格」に既に含まれているもの(例:買手から売手に対して支払われる貨物代金がCIF建てとなっている場合の運賃及び保険料)については、改めて「現実支払価格」に加算することとはならない。

 

(参考)

「輸入貨物の取引価格による方法」により輸入貨物の課税価格を計算する方法とは?

 

kxxr.hatenablog.com

 

 

もう少し詳しく。

 

1)輸入港までの運賃、保険料等
 
  輸入貨物が入港の港域に到着するまでその輸入貨物の船卸し等ができる状態)に実際に要した運送費用をいい、その輸入貨物の輸出港までの運送費用を含む。
 
 
2)手数料
 
  輸入取引に関して業務を行う者に対し買手が支払う手数料のこと。
    ※買付手数料は"買手"のための費用なので、課税価格には含まない。
  
  例:  
  • 売手と買手の双方のために輸入取引の成立のための仲介業務を行う者に対して、買手が支払う手数料
  • 輸入貨物の売手による販売に関して、その売手に代わり業務を行う者(販売代理人)に対して、買手が支払う手数料  

 

3-4)輸入貨物の容器、包装に要する費用
 
  買手により負担される費用のうち、
 
   1.輸入貨物の容器に要する費用
 写真機用ケース、楽器用ケース、製図機器用ケース等、特定の輸入貨物を収納するために特に製作し又は適合させたものであって、長期間の使用に適し、その容器に収納される輸入貨物とともに提示され、かつ、通常その輸入貨物とともに販売されるもの等
 
   2.輸入貨物の包装に要する費用
 包装に係る材料費や包装作業に従事する者に係る人件費等
 
 
5)無償提供等物品、役務
 
  輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、買手により無償で又は値引きをして直接又は間接に提供された物品又は役務のこと。
 
  例:
  • 輸入貨物に組み込まれている材料、部分品又はこれらに類するもの(商品ラベルにおいては、食品衛生法等の我が国の法律等に基づき表示することが義務付けられている事項のみが表示されているラベルは除かれる。)
  • 輸入貨物の生産のために使用された工具、鋳型又はこれらに類するもの(例:機械、設備、金型、ダイス等。)
  • 輸入貨物の生産の過程で消費された物品(例:燃料、触媒等。)
  • 輸入貨物の生産に関する役務(輸入貨物の生産のために必要とされた技術、設計、考案、工芸及び意匠)であって、本邦以外において開発されたもの
 
 
6)ロイヤルティ等
 
  「特許権意匠権、商標権その他これらに類するもの」とは、
 特許権実用新案権意匠権、商標権、著作権及び著作隣接権並びに特別の技術による生産方式その他ロイヤルティ又はライセンス料の支払の対象となるもの。
  「輸入貨物に係る」ものであり、かつ、「取引の状況その他の事情からみてその輸入貨物の輸入取引をするため」に買手により直接又は間接に支払われるものである場合を指す。
  ※輸入貨物を本邦において複製する権利は含まれない。
 
 例:
  • 特許権実用新案権も同じ。)の対価であるロイヤルティ等については、輸入貨物が、特許発明品である物品(特許発明である物品の生産に専ら使用される部品、材料等を含む。)である場合、特許製法による生産物である場合又は方法特許を実施するための物品である場合
  • 意匠権の対価であるロイヤルティ等については、輸入貨物が意匠(模様、形状等)を有している場合
  • 商標権の対価であるロイヤルティ等については、輸入貨物が商標を付したものである場合又は加工後に商標が付されるものである場合
  • 著作権著作隣接権についても同じ。)の対価であるロイヤルティ等については、輸入貨物が著作権の対象を含んでいるものである場合(例:録音したテープに著作権の具体的内容である歌詞、旋律等が記録されている場合)
 
 
7)売手帰属収益
 

  買手による輸入貨物の再販売その他の処分又は使用によって得られる売上代金、賃貸料、加工賃等で、直接又は間接に売手に帰属するもの。

  ※買手による売手への配当金の移転その他の支払であって輸入貨物と関係のないものは該当しない。

 

  例:輸入貨物の利潤分配取引に基づいて買手が売手に分配する利潤

 

 

 

参考資料

関税評価用語等解説

 

 

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