非居住者による輸入通関について。

非居住者による輸入通関について

 

本日のテーマ

「非居住者が輸入申告をするには?」

 

外国企業が輸入者として日本に製品を輸入して販売する場合
  • 外国企業は自社所有の保税在庫の輸入申告者(納税申告者)となり、関税および消費税の納税義務者となる。
  • 外国企業は日本居住者を税関事務管理人として選任し、税関長に届出をする(関税法95条第1項、関税法施行令第84条および85条)。
  • 税関事務管理人は、外国企業のために税関の事務を管理する役割を担うのみ。あくまでも税関に対する関税等の実際の納税義務者は、輸入者である外国企業。
  • 消費税の申告書を提出する際も、税関事務管理人を定め税務署に届出を行う(国税通則法第117条)。
  • 税関事務管理人届出書(消費税等納税管理人届出書兼用)」(税関様式C第7500号)により、一つの届出書で関税と消費税の管理人を同時に届け出ることが可能。

 

(ポイント)

  1. 税関事務管理人は、税関への輸出入申告手続、検査の立会い、関税等の納付、税関が発する書類や還付金の受領等を、日本に居住しない者の代理で行う。
  2. 税関事務管理人は、本邦に住所又は居所(法人にあっては本店又は主たる事務所)を有する者であることが必要。
  3. 税関事務管理人が行う税関手続の処理が通関業法第2条に規定する通関業務に該当する場合には、税関事務管理人は通関業の許可を受ける必要がある。

 

外国企業が保税地域内で販売(保税転売)する場合
  • 保税転売とは、外国企業の自社在庫を保税蔵置場内で日本の顧客に転売すること。
  • 保税蔵置場とは、原則2年間(延長可能)にわたって外国貨物の積み下ろし、運搬、蔵置を行うことができる保税地域をいう(関税法第42条)。
  • 保税転売は、輸入(納税)申告前に行われるため、保税転売した外国企業は、日本で関税、消費税等を納税する必要はない。
  • 保税転売によって取得した貨物を輸入する日本の顧客が、関税および消費税の納税義務者となる。
  • 保税転売された場合の輸入申告は、「現実に当該貨物が本邦に到着することになった売買」(関税定率法基本通達4-1(2)ハ)(p9)での価格を申告する(=保税転売前の価格)。

 

関税定率法基本通達4-1(2)ㇵ

甲と乙との間で貨物を本邦に到着させることを目的として締結された売買契約に基づいて当該貨物が本邦に到着した場合であって、当該貨物が本邦到着後又は保税地域に蔵置中に転売されて輸入されるときは、甲と乙との間の売買が「現実に当該貨物が本邦に到着することとなった売買」であることから、甲と乙との間の売買が輸入取引となる。

 

 

参考資料

非居住者の輸入通関および保税貨物管理:ジェトロ

日本に居住しない者が税関手続を行う場合の手続 : 税関

No.6635 非居住者及び外国法人の申告・届出の方法|消費税 |国税庁

 

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