船荷証券(Bill of Lading: B/L)のタイプについて。
船荷証券(Bill of Lading: B/L)のタイプについて
船荷証券とは
船荷証券(Bill of Lading)、通称B/L。
輸入貨物を受け取るための引換券のようなもの。
船会社がこれを発行し、輸出者が輸入者に渡す。B/Lを受け取った輸入者が、輸入港でこれと引き換えに貨物を受け取る。
B/L原本を提示しないと輸入者は貨物を受け取ることができない=B/Lとは有価証券である。
船荷証券(Bill of Lading: B/L)のタイプ
■サレンダードB/L(Surrendered B/L)
- 貨物の引き取りにB/Lの到着が間に合わない場合(本船の輸入港への到着が早かった、または輸出者がB/Lを送付し忘れていた等)に利用される。
- 一度発行されたB/Lを荷送人が裏書して船会社に返却することを「B/Lの元地回収」といい、荷送人に返却されたB/Lのことを「サレンダードB/L」と呼ぶ。
- サレンダードB/Lは元地回収されるため、荷送人はB/Lコピーを荷受人にファックスで送るだけでよい。荷受人はオリジナルB/Lなしで輸入貨物の引き取りができる。
発行の流れ
- 本船が出港し船会社よりB/Lが発行された後、荷送人の依頼により、船積地の船会社が荷送人の白地裏書のあるオリジナルB/L全てを回収。
- 船会社は回収したB/Lに、その旨を証明する"Surrendered"または"Telex Release"と記載。
- 船会社は、サレンダードB/Lであることを輸入地の支店または代理店に連絡。
ポイント
※「元地回収」方式ではなく、B/L自体が発行されずファックス等で「サレンダード」とスタンプされたB/Lのイメージが運送人から荷送人、そして荷受人に送付されるケースもある。
※サレンダード B/Lは、法律、条約等で規定されたものではない。故に、事故が発生した場合、紛争解決に問題が生じやすいといえる。
■海上運送状(Sea Waybill)
- 海上運送状は、貨物の受領書と運送引受条件記載書を兼ね備えたもので、かつ表面の記載事項欄もB/Lと同じ。
- 一方、B/Lと違って有価証券ではないので裏書譲渡はできない。
- 貨物引き取り時の提示は不要。
- 海上運送状に記載された荷受人(Consignee)であることが確認できれば、貨物の到着後すぐに引き取りが可能。
- 有価証券ではないので原本不要のため、B/Lと違って、未着や紛失の際の保証渡しのために、銀行保証状を手配する必要はない。
- 信用状取引が必要書類としている場合、信用状統一規則に定められた要件(信用状統一規則(現UCP600)の21条)を満たしていれば、使用することが可能。
- これら利便性により、十分に信用ある取引先との継続的・長期的な取引で使用が急増している。
貨物の引取方法
- 本船入港前、海上運送状記載の着荷通知先(Notify Party)宛に貨物到着通知書(Arrival Notice)が送付される。
- Arrival Noticeに荷受人の署名をして提出し、荷物指図書(Delivery Order: D/O)の発行を受ける(海貨業者など、荷受人以外が代理でD/Oを受け取る場合には、その代理人の名前も併記)。
- D/Oと輸入許可書を引き換えに貨物を受け取る(近年ではD/O LESS処理されるケースが多く、書面ではなくD/O IDナンバーが発行され、オンラインでIDを倉庫やヤードに伝えることにより、貨物の引き渡し処理が行われている)。
ポイント
■サレンダードB/Lと海上運送状との違い
- 海上運送状は信用状統一規則(UCP600)にその取り扱いについて規定があるのに対して、サレンダードB/Lはその規定がないこと。
- サレンダードB/Lは、本来B/Lが持つ荷為替手形の担保としての機能がないため、L/C取引や荷為替手形による決済では原則使用できない。
- サレンダードB/Lを信用状条件とする場合もあるが、サレンダードB/Lに担保としての機能がないため、信用状開設銀行は別途担保提供を要求することがある。
- サレンダードB/Lは、船足の短いアジア域内の航路での取引に一般的に使用される。
- 海上運送状は、通常のB/Lと同じように国内法の適用が受けられると共に、国際統一ルール(CMI統一規則)によって輸出入国間での標準的な運用が明確化できるため、国連はその利用を推奨している(UNECE勧告12号)。
- サレンダードB/Lは適用される国際的なルールがなく、紛争解決にリスクを伴う。
- 国連や一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)は、リスクを低減させ、電子化を促進するためにも海上運送状の利用を推奨している。
参考資料
サレンダードB/Lと海上運送状(Sea Waybill)の違い
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