輸入許可前引取り承認制度(Before Permit:BP申告)とは。

 輸入許可前引取り承認制度(Before Permit:BP申告)

 
概要
 
 ある条件下にある貨物について、輸入の許可前に貨物を直ちに引き取ることができる許可前引取り承認制度(Before Permit:BP)のこと。
 
 原則、輸入貨物は輸入の許可を受けなければ国内に引き取ることはできないが、貨物を保税地域に長期留置させることは、輸入者の商取引上の商機を逃すことにもなり、適当でない場合がある。このため、本制度が導入されている。
 

 

本制度を利用できる例
 
  • 引取りを急ぐもの貴重品や危険物、変質・損傷の恐れがある場合、輸入貨物である原材料の在庫不足により工場の操業などに支障をきたす場合、等)
  • 時間的制約がある場合展示会等へ出品するもの
  • 特恵税率又は経済連携協定に基づく税率の適用のため必要とされる原産地証明書の提出が遅れる場合(※いずれの場合も「原産地証明書の提出猶予」の承認を受けた場合に限る。)
  • 税関側の事情により輸入許可が遅延する場合(新規輸入品などで課税標準の審査に時間を要する場合、分析等を要するなどの理由により関税率表の分類に時間を要する場合、等)
  • 申告者側の事情により、課税標準の決定に時間を要するため輸入許可が遅延する場合インボイスがプロフォーマである場合、陸揚げ後に数量を確定させる契約による貨物であり、輸入申告時に貨物の数量が確定していない場合、等)

 

 

本制度を利用できない例

 

  • 輸入貨物が輸入禁制品、他法令の許可、承認を受けていないもの
  • 原産地の虚偽表示・誤認表示があるもの
  • 関税の延納を目的とする等、明らかに本制度の本旨に反すると認められるもの
  • 特例輸入者に係る特例申告貨物特例申告貨物とは、輸入申告(=貨物の引取申告)と特例申告(=納税申告)を分離して行うこと。つまり輸入申告をしてその許可を受けて貨物を引き取った後、特例申告を行うこととなるため、輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受ける実益がないことによる。)※通関士試験でよく出る。

 

 

留意事項

 

  • 本制度を利用する場合には、関税等相当額の担保を税関に提出した上で税関長の承認を受ける必要がある。
  • BP承認後、不明であった数量、価格等が確定した後、確定後の資料を税関に提出し、輸入許可を受ける。
  • 一の輸入申告に係る貨物の一部についても行うことができる。
  • 納税後に輸入許可となり、完全な内国貨物となるが、当該承認を受けた貨物は、内国貨物として取り扱われるので、輸入許可を受けた貨物と同様に国内で自由に販売することができる(一部例外事項を除く)

 

  • 納付すべき税額は、以下のいずれかにより決定する。
  1. 税関長が「関税納付通知書」を通知するもの(納付すべき税額が輸入申告通りの場合)
  2. 税関長が「更生通知書」を通知するもの(納付すべき税額が輸入申告による税額と異なっている場合で、税関長によりその税額等が更正される場合)

 

 

手続きの流れ

 

  • 輸入申告後、当該承認申請を行う。
  • 「輸入許可前貨物引取承認申請書」(税関様式C第5400号)2通(原本、承認書用)に関税額相当の担保を添えて税関長に提出。

   (担保額は通常申告税額と同額。場合によっては10%増か、それ以上を求められることもある。)

   (内国消費税を納付すべき外国貨物の場合は、その内国消費税額に相当する担保を提供する。)

  • 輸入申告時に提出した輸入(納税)申告書とは別に、統計用として同申告書を1通添付。

 

 

 

 

参考資料

輸入許可前貨物の引取り制度

貨物の輸入許可前引取り:日本

 

 

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