原則的な課税価格の決定方法以外の方法。
原則的な課税価格の決定方法以外の方法
1.原則的な課税価格の決定方法が適用されない場合
(1) | 輸入貨物に係る輸入取引に関し、特別な事情がある場合 | |
・ | 買手による輸入貨物の処分又は使用についての制限がある場合 | |
・ | 輸入貨物の課税価格の決定を困難とする条件が輸入取引に付されている場合(別の製品を購入することを条件に価格設定されている場合等で値引き額が不明瞭なもの) | |
・ | 買手による輸入貨物の処分又は使用による収益で、直接又は間接に売手に帰属するものの額が明らかでない場合 | |
・ | 特殊関係者間における輸入取引で取引価格がその影響を受けている場合 | |
(2) |
輸入貨物が輸入取引によらないものである場合 ・本邦に拠点(住所、居所、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるもの)を有する者(個人・法人いずれも可)が買手として貨物を本邦に到着させることを目的として売手との間で行った売買 ・現実にその貨物が本邦に到着することとなったもの ・通常、現実に貨物を輸入することとなる売買 を指す。 次のような輸入貨物は輸入取引によらない輸入貨物となる。 |
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・ | 無償貨物 | |
・ | 委託販売のために輸入される貨物 | |
・ | 売手の代理人により輸入され、その後売手の計算と危険負担によって輸入国で販売される貨物 | |
・ | 賃貸借契約に基づき輸入される貨物 | |
・ | 送り人の所有権が存続する貸与貨物 | |
・ | 同一の法人格を有する本支店間の取引により輸入される貨物 | |
・ | 本邦で滅却するために、輸出者が輸入者に滅却費用を支払うことにより輸入される貨物 | |
(3) |
輸入貨物の課税価格について疑義が解明されない場合 ・輸入者の補足説明及び追加資料でもその疑義が解明されないもの ・補足説明及び追加資料の提出がされず、現実に買手により売手に対し又は売手のために支払われた価格等が確認できなかったもの を指す。 |
2.原則的な課税価格の決定方法以外の方法
(1) | 同種又は類似の貨物の取引価格による課税価格の決定方法 輸入貨物の生産国からほぼ同じ時期に我が国に輸出された同種又は類似の貨物の取引価格があるときは、その取引価格に基づいて課税価格を決定する。 (この場合で、同種又は類似の貨物の取引段階、取引数量及び運送距離又は運送形態等が輸入貨物のものと異なる場合には、必要な調整を行うことになる。) |
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(2) | 国内販売価格又は製造原価に基づく課税価格の決定方法 上記(1)の方法により課税価格の決定ができない場合には、次のいずれかの方法により、輸入貨物の課税価格を決定する。 |
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イ | その輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物の国内再販売価格から、国内における販売に係る通常の手数料又は利潤及び一般経費、輸入港到着後の通常の運賃、保険料等の運送関連費用並びに関税その他の公課を控除して課税価格を決定する方法 | |
ロ | 輸入貨物の製造原価に、輸入貨物と同類の貨物の我が国への輸出のための販売に係る通常の利潤及び一般経費、輸入貨物の輸入港までの運賃等を加算して課税価格を決定する方法 (※この方法は上記イの方法により輸入貨物の課税価格を計算できない場合に適用される。ただ、輸入者が希望する旨を税関長に申し出た場合には、上記イの方法に優先してこの方法を適用することができる。) |
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(3) | 特殊な輸入貨物に係る課税価格の決定方法 上記(1)及び(2)の方法でも輸入貨物の課税価格を決定できない場合には、原則的な課税価格の決定方法又は上記(1)及び(2)の方法において必要とされる要件を満たさない事項につき合理的な調整を加えて、これらの規定に規定する方法などで課税価格を決定することになる。 |
3.その他
次の輸入貨物については、特別な取扱いが定められているので注意。
(参考資料:関税定率法)
- 変質又は損傷に係る輸入貨物(関税定率法第4条の5)
輸入申告等の時までに当該輸入貨物に変質又は損傷があったと認められるときは、当該変質又は損傷がなかったものとした場合に計算される課税価格から、その変質又は損傷があったことによる減価に相当する額を控除して得られる価格を課税価格とする。
- ある種の航空運送貨物(関税定率法第4条の6第1項)
当該輸入貨物が航空機により運送された貨物であるときは、これらの貨物のうち、
1.無償の見本(航空機による運賃及び保険料により計算した場合の課税価格が少額であるものとして政令で定める額を超えないものに限る。)
2.災害の救助、公衆の衛生の保持その他これらに準ずる目的のため緊急に輸入する必要があると認められる貨物
3.その他これらに類する貨物で政令で定めるもの
についての輸入港に到着するまでの運送に要する運賃及び保険料は、航空機による運送方法以外の通常の運送方法による運賃及び保険料によるものとする。
- 個人的な使用に供される輸入貨物(関税定率法第4条の6第2項)
当該輸入貨物が、本邦に入国する者により携帯して輸入される貨物その他その輸入取引が小売取引の段階によるものと認められる貨物で、当該貨物の輸入者の個人的な使用に供されると認められるものであるときは、当該貨物の輸入が通常の卸取引の段階でされたとした場合の価格を課税価格とする。
また、当該輸入貨物が、本邦に居住する者に寄贈される貨物で、当該寄贈を受ける者の個人的な使用に供されると認められるものであるときも、同様とする。
参考資料
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