輸送保険について(2)。

輸送保険について

 

本日のテーマ

「保険の種類」を知る。

 

ポイント
  • 貨物への損害が生じた場合は、付保する条件によるが、通常CIF価格に10%の希望利益を加えた保険金額を限度として保険金の支払いを受けることができる。
  • 貨物海上保険は輸出、輸入、三国間貿易を対象とし、航空貨物に関するものも含まれる。

 

貨物海上保険の付保の条件

  • 当該貨物が輸送中に遭遇するリスクに対して、必要・十分なものとすること。
  • 自身のために保険をかけるのか、販売相手のために保険をかけるのか、貿易条件によって異なる。
  • 特にCIF・CIP条件での契約の場合は、契約時に相手方と保険条件について十分つめておくことが必要。
  • CIF・CIP条件では売主が保険を付保することとされており、少なくとも協会貨物約款の(C)条件、または国際約款によって規定されている最低限の保険範囲を満たす貨物保険を付保しなければならないとされている。

 

貨物海上保険の種類

  • 保険の条件を示す貨物海上保険証券には、以下3つの約款が併用されている。

 

  1. 伝統的なSGフォーム(Ship & Goods Form Policyの略称)と呼ばれる保険証券に基づく1963年約款
  2. 1982年から新しく制定されたMARフォーム(Marine Form Policyの略称)に基づく1982年約款
  3. 1982年約款を見直して改訂された2009年約款

※2009年約款は、1982年約款と比較して、保険の開始・終了時期・船社の免責・航海の変更などが、被保険者に有利になるように改訂されている。


2009年約款について

担保する内容に応じて、

ICC(協会貨物約款)(A)、ICC(B)、ICC(C)の3種類と、

[1963年約款のオール・リスク担保(A/R)、分損担保(W.A)、分損不担保(F.P.A.)にほぼ対応]

別途特約として、協会戦争約款・協会ストライキ約款がある。

 

  1. ICC(C):火災、爆発、船舶または艀の座礁、沈没、輸送用具の衝突、遭難港における貨物の荷卸し、共同海損、投荷等について填補される。
  2. ICC(B):ICC(C)に加え、地震、噴火または雷、海水、湖水、または河川水の船舶、艀等への浸入、船舶または艀への積み込みまたはそこからの荷卸し中における海投または落下による梱包1個ごとの全損が填補される。
  3. ICC(A):ICC(B)に加え、雨淡水濡れ、盗難、抜荷、付着等のあらゆる付加危険が担保される。

ICC(A)であっても、戦争、ストライキ、被保険者の違法行為、梱包不十分、運送の遅延、原子力兵器等による損傷等は免責となる。


保険でカバーされる期間
  • 原則として、貨物が積出港の倉庫等において輸送のためにはじめに動かされた時から仕向港の荷受人の指定する倉庫等に搬入され荷卸が完了するまでの期間(Warehouse to Warehouse Clause)。
  • 通常の輸送過程とは認められない保管、仕分け分配のため倉庫を使用する場合は、その倉庫に搬入され荷卸が完了した時、または本船から貨物が荷卸された時から60日(航空貨物については、迅速性が要求されるため、貨物が機体から荷降しされてから30日)を経過した時のいずれか早い時点で終了する。

 

 

参考資料

荷主としての貨物への保険の種類と留意点:ジェトロ

 

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