輸出時の消費税について(2)。

輸出時の消費税について

 

本日のテーマ

輸出時の消費税」を知る(2)。

 

輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付

 

  • 海外で消費される「輸出取引」等では消費税は免除されるが、輸出のために仕入れた商品代等(課税仕入れ)には消費税が含まれている。
  • 輸出企業(実際の輸出者)は、確定申告をすることで仕入れ時に支払った消費税額の還付を受けることができ、この課税仕入れの金額には、商品などの棚卸資産の購入代金のほか、その輸出事業のために支出した諸経費(事務用品の購入や交際費、広告宣伝費など)も含まれる。
  • 消費税の還付を受けるには、「課税事業者」でなければならない。
  • 基準期間(事業年度の前々事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の企業は消費税免税事業者となるが、課税事業者を選択する旨の届出を行うことで輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付を受けることが可能。

 

消費税課税事業者と免税事業者

 

1.消費税課税事業者
  • 消費税の還付を受けるには、消費税課税事業者であることが条件
  • 既存の消費税課税事業者は、所轄の税務署長に「消費税課税事業者届出書」を提出していることが還付を受ける前提。
  • 改正消費税法による消費税課税事業者の定義は以下の通り。
  1. 事業年度の前々事業年度(「基準期間」)における課税売上高が1,000万円を超える法人事業者
  2. 前々年の暦年(基準期間)における課税売上高が1,000万円を超える個人事業者
  3. 新設会社のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額、または出資の金額が1,000万円以上の法人事業者

 

2.消費税免税事業者
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下の法人事業者および個人事業者、新設会社のために売上実績のない法人事業者(資本金または出資の額が1,000万円未満)および個人事業者が、消費税免税事業者として、消費税の納税義務が免除される。
  • 免税事業者は、消費税額の控除ができないため輸出商品の仕入れにかかった消費税の還付は受けられない。
  • 免税事業者が消費税の還付を受けるには、所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書(第1号様式)」を提出し、課税事業者になる必要がある

 

消費税の還付手続き

 

1.消費税課税法人事業者
 
  • 課税期間の末日の翌日から2ヵ月以内に、下記書類を所轄税務署長へ提出し還付申請を行う。
  1. 「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」
  2. 仕入控除税額に関する明細書(法人用)」
  3. 「付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書」

 

2.消費税課税個人事業者
 
  • 課税期間の翌年3月末日までに、下記書類を所轄税務署長へ提出し還付申請を行う。
  1. 「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」
  2. 「付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書」

 

3.消費税課税事業者が輸出取引と国内取引を併営している場合
 
  • 還付消費税(輸出取引)と納付消費税(国内取引)が発生。
  • 還付税額と納付税額は、上記の「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」の中で同時申告され、還付税額と納付税額が相殺される。
  • 消費税課税事業者は、その差額を還付分として得る、もしくは納付することになる。
  • 各届出書は税務署で入手、また申告書の書類などは申告時期前に税務署から送付される(電子納税申告システム「e-Tax」を利用して行うことも可能)
  • 控除不足還付税額のある還付申告書を提出する場合は、「消費税の還付申告に関する明細書」を添付すること平成23年度改正後の消費税法施行規則第22条3項)
  • 同明細書には、従来の「仕入控除額に関する明細書」の記載事項に加えて、課税資産の譲渡や輸出取引にかかわる項目等も記載。
  • 新様式(第28-(8)号様式、第28-(9)号様式)および記載要領等は、国税庁ウェブサイトで確認可能(所轄の税務署でも入手可)

 

 

参考資料

輸出時の消費税:ジェトロ

消費税及び地方消費税の確定申告の手引き等|国税庁