海上輸送の貿易取引条件について。

海上輸送の貿易取引条件について

 

本日のテーマ
海上輸送の貿易取引条件」について深掘り。

 

貿易条件:インコタームズとは
  • 国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則(International Commercial Termsの略)のこと。
  • インコタームズが制定される1936年以前は、貿易取引条件の解釈がそれぞれの国で異なることでトラブルが生じていたため、これらの誤解や行きちがいを回避する目的で制定された。

 

インコタームズの規則
  • アルファベット三文字(例:FOB、EXWなど)で表され、売主・買主間の物品の引き渡しに関する危険の移転の分岐点、役割や費用(運送の手配と運賃の支払い、保険の手配と保険料の支払い、通関手続きと費用)の負担区分などそれぞれの規則の下で売主・買主が行うべき義務がまとめられている。
  • 支払われるべき代金や支払い方法、物品の「所有権」の移転時点、契約違反の結果などについては定めていない。

 

コンテナ輸送で好ましい貿易条件:FCA、CPT、CIPについて
  • FCAでは貨物が買主指定の運送人の管理下に置かれた時、CPTとCIPでは貨物が売主指定の運送人の管理下に置かれた時に貨物の引き渡しが完了し、危険負担が買主に移転する。
  • コンテナ輸送の場合、貨物が運送人の管理下にあるコンテナヤード(CY)で引き渡されるため、FOB、CFR、CIFを適用すると、売主がCYから本船に積載されるまでの危険までも負担することになるという不合理が生じるため、コンテナ輸送ではFOBよりもFCA、CFRよりもCPT、CIFよりもCIPを使用すべきということになる。

 

1.運送人渡(Free Carrier: FCA

  • 売主の契約上の義務は、船賃や保険料などを負担しないという点ではFOBと同じ。
  • しかし、貨物の引き渡しはFOBと異なり、売主が輸出通関を済ませ、買主によって指定された場所で、買主が指名した運送人に貨物を引き渡すことにより完了する。
  • 「運送人」とは運送契約を締結した海上、航空、鉄道、陸上などあらゆる輸送形態の輸送を行う(またはそれを請け負う)者を指す。
  • 売主・買主両者に保険契約の義務はなく、貨物が運送人に引き渡された後の貨物の減失や損傷など一切の危険を買主が負担するため、通常買主が保険を付保する。


2.輸送費込(Carriage Paid To: CPT)

  • 売主は指定仕向地までの輸送費を負担。
  • 危険負担はCFRと異なり、貨物が運送人に引き渡された時点で買主に移転する。
  • 保険はFCAの場合と同様に、両者に付保の義務はないが、通常買主が付保する。


3.輸送費保険料込条件(CIP: Carriage and Insurance Paid to)

  • 売主は上記CPT条件に加え、指定仕向地までの貨物保険を売主の負担で付保しなければならない。
  • この場合も、運送人に貨物が引き渡された時点で危険負担が買主に移転する。



参照記事↓

kxxr.hatenablog.com

 

 
参考資料

コンテナ輸送の貿易取引条件:ジェトロ

インコタームズ2010:ジェトロ


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