クレームにおける仲裁について
本日のテーマ
「クレームにおける仲裁」を知る。
概要
- クレームなど紛争の解決方法は、「話し合い、仲裁、訴訟」による解決の三つに大別される。
- 話し合いで解決できないときは、仲裁か訴訟かを選択(二者択一)することになる。
仲裁とは
- 紛争が起こった場合に、裁判所に解決を求めるのではなく、紛争当事者が紛争解決を公正・独立な第三者(仲裁人)の判断に委ね、その判断(仲裁判断)に従うという合意に基づき紛争を解決する手続きのこと。
- 仲裁判断には裁判所の確定判決と同じ効力が付与され、強制執行が可能。
国外の条約について
- 国外についてはニューヨーク条約(外国仲裁判断の商品及び執行に関する条約)の締約国に限る(2015年11月時点)。
- 台湾については、ニューヨーク条約の締約国になれないが、ニューヨーク条約に対応する国内法があり、実際執行されている。
- 訴訟の場合、外国の裁判判決の執行に関しニューヨーク条約のような多数の国が締約国となっている条約がないため、国内法によることになる。
- 国によっては、日本の裁判判決の執行ができない国がある(例:中国)。
仲裁利用のための合意
- 将来の紛争に備え仲裁を用いるためには、相互の合意が必要。
- 合意方法は以下二種類。
-
仲裁条項(Arbitral Clause)
契約書の締結時に、仲裁合意を契約条項として契約書に規定する方法
-
仲裁付託(Submission to Arbitration)
現在すでに生じている紛争を仲裁により解決する旨の合意文書を作成する方法
(ポイント)
- 実際には、紛争が発生した後では不都合な問題を抱える側が仲裁に応じないケースが多いため、契約締結時に合意しておくこと(上記1.)が現実的。
- 仲裁と訴訟は二者択一となるので、契約締結の時点で仲裁合意することにより、一方的な訴訟を回避できる。
- 仲裁条項には、以下三点を明記すること。
-
仲裁機関
-
仲裁規則
-
仲裁地
仲裁機関の選定
- 仲裁機関には、日本商事仲裁協会、アメリカ仲裁協会、ロンドン国際仲裁裁判所、国際商業会議所国際仲裁裁判所、シンガポール国際仲裁センター、香港国際仲裁センターなどがある。
- 多くの場合、紛争の内容や当事者間の力関係によって仲裁地が決まる。
- 当事者同士の話し合いで仲裁機関が決まらない場合、第三国の機関を選定することも可能。
その他ポイント
- 仲裁利用の合意を得ている取引相手が、仲裁手続への参加を拒否する場合、取引相手を強制的に仲裁手続に参加させることはできない。
- ただし不参加であっても、仲裁人は仲裁手続を進めることが可能。この場合、仲裁人は、仲裁を申し立てた当事者の主張と立証に基づいて、仲裁判断をすることになる。(仲裁法第33条)。
- 日本の代表的な商事仲裁機関「日本商事仲裁協会」では、仲裁に関する情報、仲裁条項のひな型等を提供している。
参照記事↓
参考資料
.