EXW(工場渡)の輸出入手続きについて。

EXW(工場渡)の輸出入手続きについて

 

本日のテーマ
「EXW(工場渡)の輸出入手続き」について深掘り。

 

概要
  • EXWは、売主が、売主の施設またはその他の指定場所(工場、製造所、倉庫など)で物品を買主の処分に委ねた時に引き渡しの義務を果たすことを意味する。
  • 当該規則では、売主は物品を引き渡す際、車両に積み込む必要もなく、通関の義務もないため、インコタームズの中で売主にとって最もリスクと費用負担が少ない。

 

EXWについて
  • 買主は、物品が引き渡されてから自国に持ち込むまでの輸出入通関手続きおよび諸掛、輸送費、関税等の一切の費用を負担する。
  • 買主にとっては、貨物の購入代金は安くても、その他の費用とリスク負担が最も大きい規則となる。
  • 買主が直接または間接に輸出通関許可を取得できない場合は、EXWを使用しないことが賢明(EXWの使用にあたっては、買主が事前に現地の輸出通関事情をよく調査すること)。

 

日本からの輸出について
  • 物品が売主の施設等で売主から買主に引き渡されるため、輸出通関の手続きは買主の義務となる。
  • 実務的には、買主が輸入国に居ながら、こうした手続きを行うことは困難なため通常はフォワーダーなどに買主の名で仕出国での輸出通関を代行してもらう方法がとられる。
  • 日本側が売主の場合、買主は、日本の居住者である税関長の許可を受けた通関業者などを「税関事務管理人」として任命し、税関への輸出申告手続きを買主の名義で行う(関税法第95条)。
  • 関税関係法令以外の規定(他法令)により許可や承認等を必要とする場合は、申告者はその許可等を得ていることを税関に証明しなければならない。
  • 日本国内で物品を買主に引き渡した時点で、物品の所有権や処分権も売主から買主に移転したものと認識されたとき(例:物品の引き渡し後買主が考えを変えて輸出せず日本国内で転売できるなど、物品引き取り後に買主の裁量で物品をいかようにもできる状態のとき)は、10%の消費税課税となり、売主は輸出免税の適用を受けられないことがある。
  • EXWを使用して売主が輸出免税の適用を受けるときには、輸出証明(税関の輸出許可書)のほか、売主から買主への物品の所有権・処分権の移転が輸出許可後(船積み時など)になされることを予め当事者で合意し、その旨を契約書やインボイスなどに明記しておくこと。

 

日本への輸入について
  • いずれの国・地域においても、原則居住者である者が輸出入申告を行う。
  • 輸出国・地域において日本の「税関事務管理人」と同じようなシステムがあるか否か、事前に現地の輸出通関事情をよく調査すること(例:米国の場合。買主が米国居住者であるフレイトフォワーダーに、すべての輸出許可に関する責任は買主がとることを米国の売主に確約することを記した委任状を託し、買主の輸出代理人として任命することで、米国から輸出ができる)。

 

ポイント
  • このEXW規則と同じ意味で、Ex Godown、Ex Warehouse、Ex Factory、Ex Mill等が使用される場合がある。
  • これらはインコタームズで定義されていない用語のため、これらの用語を使用し、用語の定義等を巡ってトラブルが起きても、どこにも依拠する基準がない。
  • 従って、トラブルを防止するためには、インコタームズで定義されているEXWを使用する方がいい。



参考資料

EXW(工場渡)の輸出入手続き:ジェトロ

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