カーゴクレームについて(海上輸送)。
カーゴクレーム(海上輸送)について
本日のテーマ
「カーゴクレーム」を知る。
カーゴクレームとは
- 運送中、貨物に損害が発生した場合は、荷主は船会社に対し、損害賠償請求(クレーム)を行うことができる。
- 運送会社は、運送契約上一定の賠償責任があるものの、運送約款によりその賠償責任範囲が一定の金額に定められている(=損害額のすべてが損害賠償金として支払われるわけではないことに注意)。
損害賠償請求
1.予備クレーム
- 正式な損害賠償請求に先立つ通知で、予備クレーム(Preliminary Claim)とも呼ばれる。
- 予備クレームは、引渡し後3日以内に行わなければならないとB/L約款に規定される。(※引渡後3日・・CY/CFSからの搬出時を起点とする)
(手順)
- 引渡しを受けた貨物に損傷が見つかった場合、それを客観的に証明するため、その旨を記した受渡証や貨物引渡証などの書類を取り寄せ。
- それら書類を以て船会社宛てに事故通知(Notice of Damage)を行う。
2.本クレーム
- 予備クレームを行った後、正式な損害賠償請求である本クレーム(Final Claim)を行う。
- 本クレームの請求期限は、日本や米国などでは、貨物の引渡し後1年以内とされる(国によって異なる)。
(手順)
- 荷主側の責任で損害額を算出。
※客観性を立証するため、必要に応じて海事検定人(Surveyor)に損害の鑑定を依頼し、鑑定書(Survey Report)を入手する。
- 算出した損害額をもとに損害額の請求書を作成。
- 機器受渡証や貨物引渡証などの書類、B/Lのコピー、インボイス、海事検定人の鑑定書または修理業者の請求書のコピー、損傷を示す貨物またはコンテナの写真などを添付して船会社に提出。
ポイント
- クレームを受けた船会社は、B/L約款に沿って処理を行う。
- B/L約款では、ヘーグ・ルールやヘーグ・ヴィスビー・ルールなどの国際条約に則った船会社の賠償責任範囲が定められており、損害額のすべてが損害賠償金として支払われるわけではないことに注意する。
- 日本が批准するヘーグ・ヴィスビー・ルールでは、損害賠償金は1梱包もしくは1単位あたり666.67SDR、または総重量1kgにつき2SDRのいずれか高い方となっている。
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運送から生じた間接損害や特別損害、又は懲罰的損害賠賠償に対しては、ほとんどの船会社がその発生を予知していたかどうかは問わず、一切責任を負わないとされるので注意。
参照記事↓
参考資料
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